5月29日、このところの安定している天気を見計らって、朝日鉱泉からの登山道の状況を確認するべく、大朝日岳を目指しました。1年で最もと言って良いほど日も長く、朝4時にはヘッドライトなしで歩けるほどです。4時40分鉱泉を出発して、行きはとりあえず直登の最短ルートである中ツル尾根で大朝日岳山頂を目指しました。急登の始まる出合い(二俣)までの4kmでは、毎年壊れる沢附近(上のゴガ沢、ハトアサの沢)の登山道は少し歩きにくいです。近日中に整備するつもりです。吊り橋が1ヶ所ワイヤーが壊れていますが、近日中に朝日山岳会の皆さんが修繕してくれるということでした。また、通称マス止めの滝と言われる朝日川本流のすぐ横を歩くところは巨大な雪渓が残っていますが、歩くのに支障はありません。
2合目(出合い)からは3週間前にはすぐに雪渓を登って行かなければならないようでしたが、今では全く雪はありません。4合目の長命水は水場はまだ完全に雪に埋もれていますので利用できません。出合い手前の階段の橋での給水が最後です。まだしばらくかかりそうな雪の量でした。4合目を過ぎると倒木が目立ちますが、なんとか越えて行けます。5合目付近では、ほんの少し雪渓上歩きますが、アイゼンが必要なほどではありません。キックステップで十分です。距離もせいぜい20m程度です。これもしばらくすれば溶けてしまうでしょう。
7合目を過ぎると一気に春先の花がたくさん咲いていて、春真っただ中といった感じです。山桜をはじめ、イワカガミ、ミツバオウレン、ミヤマキンバイ、そしてウスユキソウの幼花も見られました。周りの峰々もまだまだたくさんの雪をまとい、絶景が広がり目を楽しませてくれました。そういえば、グレートトラバースで田中陽希さんが登山道上でたくさん目にしたというツキノワグマの糞も全くなく、今年はクマの道にはなっていないようでした。
4時間ほどで山頂へ到着しましたが、人気は全くなく、大朝日岳と360°の大パノラマの絶景を独り占めさせていただきました。頂上付近は風が強く、少しだけ下ったところで眺めの休憩をとり、頂上から大朝日岳山頂避難小屋へ下りました。まだ5月ということもあり、挨拶をしても静まり返った小屋は無人でした。もちろん利用
可能ですのでご安心を。ここからは小朝日岳、鳥原山と北向き斜面に登山道があるところが多いので残雪があります。銀玉水付近の雪渓は当然たっぷりで、距離およそ400m程度急こう配を下ります。滑って崖に落ちるような場所ではほぼありませんが、やはり軽アイゼンがあった方がよいでしょう。銀玉水はまだ雪の中で利用不可能です。その後は小朝日岳頂上まで雪を踏む場所はなく、熊越え付近ではシラネアオイが咲き始めていました。
小朝日岳山頂ではまたも大パノラマを堪能して、鳥原山方向へ。
一見しただけで、かなりの距離を雪渓上歩かなければならないのがわかります。雪の消え方は少し早いような感じですが、この斜面では滑ってしまえば、谷へ落ちてしまう危険があります。軽アイゼン(6~8本くらい)、ピッケルではなくストック(理想はダブル)で大丈夫だと思いますが必須です。アイゼンを装着していれば快適に残雪歩きを楽しめると思います。途中登山道が出ているところもありますが、総距離1~1.5kmほどは雪渓を歩くとみて良いでしょう。
雪渓が終わると鳥原山展望台までのアプローチはゆるやかで、振り替えれば朝日連峰の絶景が望めます。山頂を過ぎて鳥原山の避難小屋や池塘方面を眺めると、鏡のような池塘と満開のタムシバ(ニオイコブシ)が新緑の中で咲き乱れ、楽園のような景色が広がっていました。ただ、山頂より鳥原避難小屋までの間は、すべて雪に覆われていて、登山道はほぼわかりません。小沢のあるところは登山道にもみえるように残雪が残っていますので、方向だけを見失わず、まずは避難小屋を目指すのが無難だと思いました。避難小屋までつけば、その付近の登山道(木道)は出ています。避難小屋前の水場はかろうじて出ていますので利用可能です。
避難小屋から朝日鉱泉までの間は、雪を踏むところは全くありませんが、気温が異様に上がっているため、金山沢の水量はかなり多く、かろうじて濡れずに渡れる状態でした。そんなこんなで午後3時ちょうどに朝日鉱泉に帰着しました。
状況としては中ツル尾根ピストンであればアイゼンピッケルは不要で夏山装備で登山可能です。鳥原山、小朝日岳経由での登山には軽アイゼン(6~8程度で十分)、ストック(できればダブル)が必須です。水場もまだまだ雪に覆われているところが多く、限られた水場でたくさんの量の水を補給できるように容器を多めに持参するべきと思います。私は1㍑ボトル2つで水場間がちょうど良いくらいでした。山の上はまだまだ春真っただ中という感じで、夏山はまだもう少し先のようでした。
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