山が好きな方であれば「ゼンマイ」という山菜をご存知の方は、それなりにいるのではないでしょうか。では、ゼンマイを採ったり揉んだりしたことのある方となると、ほとんどいないと思います。
ゼンマイは、生える場所の危険性や食べることができるようにするまでにかかる手間などから、昔から非常に高値で取引され、法事などのもてなしの膳に提供されてきました。昔は朝日連峰にはたくさんの商売人、いわゆるプロの方がいたようですが(参照:みちのく朝日連峰山だより 1983年刊)、現在では1、2人いるかどうかです。あと10年もすればだれもいなくなってしまうかもしれません。朝日鉱泉では宿の食事で出す分だけ毎年採っており、朝日連峰の山の味を残していこうと思っています。
ゼンマイ採りに行って、茹でて干して保存状態にするまで、早くて3日、天気次第では4日ほどかかります。初日は早朝から山に入りゼンマイを取りに行き、昼過ぎに帰ってきてから、綿毛を取り除き、茹でて軽く外に干すところまでです。2日目は朝、陽が上りだすとすぐに干し始め、何度も裏返しながら干し、徐々に揉みを入れ、繊維をほぐして柔らかくなるようにしていきます。乾燥しすぎると揉んだ際に割れたり折れたりしてしまうので、程よい力加減で手早く作業をする必要があり、時間と暑さとの戦いです。最低でも4,5回以上は揉んで柔らかくする必要がります。
ゼンマイを裏返したり、揉んだりすること10回以上、丸めるところまで1日で到達すれば上出来です。あとは翌日以降真っ黒になり、カチコチに乾燥しきるまで時々裏返しながらひたすら干すだけです。
本当に干し上げるまで手間のかかる作業です。目を離すこともできませんし、何度も揉まなければなりませんし重労働です。
でもゼンマイを茹でたり干しているときの独特のあの香りが私はたまらなく好きです。干しあがったゼンマイのにおいを嗅ぐと、何か太陽と大地のにおいとでも言うような香ばしい芳醇な香りが全身を駆け巡り、大自然の元気をもらうような気がします。
外国産の安価な栽培ゼンマイとは全く違う、手間暇かけた朝日連峰の山の宝、ぜひ味わってみてください。
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佐竹敏子 (木曜日, 17 5月 2018 21:59)
今は亡きじいちゃんがよく朝日岳の方にぜんまい採りに行ってました。後ろに転げ落ちそうになりながら必死で背負って来て家族総出で綿を取り茹でて次の日からおばあちゃんが必死に揉んでいました✨今は山の畑に植えて置いてくれたので楽して採りに行って茹でて揉んでいて、家で食べる分は間に合って居ます✨私ももうおばあさんになってしまいましたが一回朝日岳の方に採りに行って見たいにです。
重雄石塚 (水曜日, 27 4月 2022 22:19)
私も、大自然の中でゼンマイ取りを経験してみたい!