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2024夏を振返り今後に思うこと

8月も残すところあと数日。もうすぐ紅葉のシーズンへと向かいますが、今年の夏を振り返ってみようと思います。

 

 一言で言うならば、「天候不順の夏」が当てはまると思います。6月までは本当に雨が降らず、渇水、乾燥した状況で、安定して天候も良かったこともあり、登山者がいつもより多かったです。しかし、7月に入り梅雨本番となってからは、本当に雨が多くなりました。8日には大雨となり、降り続いた雨の影響で、林道が閉鎖。11日になってようやく開通となりましたが、海の日の連休もぐずついた天気となりました。さらに、25日には全国的にも報道された山形、秋田での線上降水帯発生による大雨で大きな被害を受け、この時も31日までの一週間林道が閉鎖されました。幸い、朝日連峰は大きな被害は出なかったものの、山形県、秋田県全体では非常に大きな被害が出ました。これらの大雨災害により、朝日鉱泉の営業も半月近く休業にせざるを得ず、また河原から湧いている鉱泉の源泉も2回土砂に埋まり、掘り出さなければなりませんでした。

 

 8月に入り、早々に梅雨明けとなりましたが、天気はイマイチ安定せず、今度は高温、そして12日の山の日の連休には台風がこれまでにない動きで東北を横断するという進路を取り、岩手を中心に大雨となりました。その後もお盆には関東地方へ台風が近づき、交通機関の乱れや運休、週末ごとに天気予報が悪く、今週後半もまた台風が日本列島に接近、上陸の恐れも出ています。

 

 ここ数年の傾向として、皆さんも感じているように、気候が極端になってきている気がします。晴れれば「猛暑」となり、野外での活動が危険なほどに暑くなり、雨が降れば局地的に大雨となり、時間雨量100mmや150mmの猛烈な降り方で統計史上初であったり、何十年に一度の雨が当たり前のように降り、土砂災害が発生する、完全に気候が「熱帯化」していると思います。そしてこれは今年に限らず、すでになりつつありますが、これからの夏は日常化していくような気がしてなりません。夏が待ち遠しいのではなく、怖い、危険になってしまいそうです。

 当然このような不安定、危険な天候では山登りが難しく、推奨することもリスクを高くすることとなり、良いことではないと感じます。「8月の東北の山は、梅雨明けして気候も安定し、涼しくて登りやすい」というこれまでの考え方は過去のものであり、変えなければなりません。気候が変わってしまいました。

 

 ではいつ頃が登山に良い時期でしょうか。前から私は人に「いつの登山がお勧めですか?」と聞かれたときには必ず「6月頃が良いですよ」と話してきました。私が一番好きな時期であり、理由はいくつかあります。

①梅雨入り前で比較的天候が安定していること

②気温は朝晩は涼しく、日中は暖かくなり、日も一番長い

③新緑→深緑となり、花も咲き始め山が生命に溢れていて楽しい

④暖冬の影響で近年は、残雪があるが、ある程度(軽アイゼン、ストック等)の装備があれば危険は少なく、むしろ谷間の残雪と深緑でゼブラになってそのコントラストが非常に美しい

⑤雪に埋もれて出ていない水場も少しあるが、だいたいは雪解け水で水量も安定しているところが多い

 

大きくはこんなところでしょうか。

それ以外の時期だと、梅雨入りする前の7月上旬~7月中旬くらいまで、そして8月の終わり~9月~10月の10日頃まででしょうか。ただ、秋は台風が来やすいということや秋雨前線が停滞すると長雨になること、日照時間が日に日に短くなること、渇水期で水場が枯れる場合があること、寒気の影響で急に寒くなるったり降雪の場合があること、などの懸念材料はあります。でも、やはりこの時期の朝日連峰の紅葉は素晴らしく、連休も多いため、登山者が増えている傾向にあります。

 

「夏が危険」などというのは本当に悲しい気もしますが、今年も含め、ここ数年の夏で実感するように、変わってしまった(変えてしまった?)気候を受け止め、リスクを回避し、安全な登山を探していくしかないと思います。